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果つる底なき

池井戸潤さんの初期の作品。
出世作だそうだ。

売れ線の作品、量産型のもの、小慣れた感じのこの頃のものに比べるとずいぶん表現が混み入ってる。
まだ大衆小説に慣れてないのか、省略が少ないように思われた。
難しい金融用語、登場人物の多さ、渋谷の街並みの描写。
とはいえ、どれも俺には興味深く。面白かった。

しかし売れ線の作家というのはすごいなぁ。
売れる理由がある。
時代にあった文体、構成の作り方をよく知っている。

概要

元銀行員の著者が、都市銀行の内幕を舞台に描いた作品。ビジネス書などの著書は複数あったが、小説としては本作がデビュー作になる。本書が刊行された1998年は、日本長期信用銀行の破綻や不良債権の焦げ付きなど、金融不祥事が相次いだことで注目が高まった。

1998年、第44回江戸川乱歩賞を受賞する(福井晴敏の「Twelve Y. O.」と同時受賞)。『週刊文春』の傑作ミステリーベスト10で第8位にランクインした。


あらすじ

ある日、二都銀行渋谷支店に勤める伊木遥の研修時代からの友人である坂本健司は、「なあ、伊木、これは貸しだからな」と謎の言葉を残して死んだ。死因はアシナガバチによるアナフィラキシーショックだった。

翌日、坂本が顧客の口座から金を引き出し、自分の口座に送金していたことが発覚する。伊木は、坂本の無実を信じ、坂本が生前何をしようとしていたのか調べ始める。その過程で、自分が融資を担当した「東京シリコン」倒産の真の原因を突き止め、坂本が言っていた「貸し」の意味を理解し、痛恨の思いに駆られる。

しかし、坂本の死には更に深い闇が隠されていた。真相を探る伊木の行動を邪魔する者が現れ、更なる死人・怪我人が出始める。


by makoto_nakamu | 2020-11-29 04:53 | 読書 | Trackback | Comments(0)